3.毎朝の通勤

  3.毎朝の通勤


 私はもう10年以上も多摩市に住んでいます。通勤の時、多摩センター駅まで少しの区間ではありますが往復ともバスを利用しています。その地域はKEバスとKAバスの2社が運行しています。最近、KAバスは電鉄本社の方針なのでしょうが鉄道も含めバリアフリーに力を入れているようです。おかげで、その路線にも低床バスが増えてきていますし、一旦停車位置を行き過ぎてバックして戻って歩道に寄せて止めてくれる若い運転手の方も何人も見掛けます。多摩センター駅のバスターミナルなどを含め歩道が一段高くなったバス停では、低くなったステップが歩道部分とほぼ同じ高さになり、歩道に寄せてくれさえすればそのまま段差無しで行けるため足の悪い人は大変助かるのです。しばらく前、右足のアキレス腱を痛めてしまい歩行に支障があったときは低床バスに出会うとそれだけでほっとしたものです。その時、足を痛めて少しではありますが、歩行に障害のある人達の不便さを身をもって実感しました。

 しかし、もう一社の方は、随分前に、入口ステップを改造して一段目のステップがスライドして低くなるタイプを作りました。その当時はかなり画期的なことだったたろうと思います。しかし、それ以来、私の知る限りそのままの状況で現在のところ低床バスを運行するでもなく変わっていないようです。なかには寄せて止めてくれる人もいるのですが。
 足が悪いときには、段を上るときよりも下りるときの方が足に対する衝撃が大きく、痛みが強くなり大変なのです。ところが、勿論、全員ではないのですが、運転手の中には寄せて止めてくれれば、とても助かる人がいることに対して無頓着な人もいて、歩道から1メートル以上も離れて止めるために、乗客は一旦道路へ降りて歩道へもう一度上がらなくてはなりません。一度、何故離れて止めるのかを問いただしたところ「多くの道路には歩道のないところもあるのだから、皆を同じ条件にしてやっているのだ」といわれました。

 また、足の悪くないときでしたが、おばあさんがよたよたと歩道から離れたバスから地面に降りる姿を見て、見かねて運転手にもっと寄せて止めてもらうように頼んだことがあります。その時、返ってきたのは凄い剣幕で「てめーは何だ。関係ないやつがいちいち口を出すな!」という返答でした。さすがに驚いて、名前を確認してバス会社へ電話をしましたが、今も相変わらず同じような状態が続いています。私は毎朝、今日はそのような思いをしないですむかなと思いつつ通勤しています。

 バリアフリー化を進める場合、トップが方針を決めるだけでなくそれを運用する人達にも考え方を浸透させないと「仏つくって魂入れず」になります。イギリスでは第三者機関が鉄道などの交通機関に携わる人達のバリアフリー教育をしています。日本でもこのような教育システムが必要ではないかと私は思っています。

 ドイツでは、写真のようなとても長い2両連結のバスをどこでも歩道ぎりぎりに何の苦もなく止めていたのでその技術に驚いていましたところ、バスを歩道に寄せて止めていない場合、客がそれに対しクレームを役所なり会社に言えば、その運転手は罰則を受けると聞きました。さすが、ドイツらしいやり方だと感心したのですが、皆さんどう思われるでしょうか?
ドイツミュンヘン市庁舎前
多摩センター駅前
新宿駅西口
4.国道375号線
2.人に優しい世の中
1.障害への配慮