3.バリアフリー対応住宅

  3.バリアフリー対応住宅


 最近、国は住環境に関する法律を次々と整備し、日本の住宅はバリアフリー化へ向け急速に施策展開をし始めています。しかし、全体的に日本の住宅の現状をみてみると、一般的に供給されている民間や公的な住宅の多くは新築・改造を合わせても、現時点ではまだ残念ながら十分にバリアフリー仕様の住まいにはなっているとは言えません。むしろ、多くの高齢者などが現在不備のある住まいの中で生活障害などを抱えたまま不安な日々を過ごしているといっても過言ではないでしょう。

 特に、公営賃貸住宅など既存の公的な住宅については、床や柱・梁など構造に関わる改造の禁止があるため段差の解消については殆ど無理があることと、可能な範囲で改造して住みやすくしようとしても退出時の現状復帰の条件があるためそう簡単には改造することが出来ないのが実状です。しかし、高齢になってくると身体状況の低下により事故や病気などがおこり、その延長で生活の不便や障害が起きて、そこに住み続ける事が大変困難になってきます。

 そのような時、本人の基本的な生活空間である寝室と水廻りそして外へ出かけるための廊下から玄関迄のいわゆる「基本的生活空間のルート」が、前もってバリアフリー仕様に配慮出来ていれば、少々身体状況が低下してきても、あるいは車いすなどで介護を受ける様になっても、かなりの期間自分の住まいに住み続ける事が可能となってきます。また、不便な所があれば簡単な改造で直ぐに対処することができますし、もし転倒事故による怪我や骨折などで入院したような場合でも、退院するまでに素速く住まいを改造できるため退院後の自宅での生活を継続させることも可能となってきます。前もってバリアフリー仕様にするためには、少々、コストは掛かりますが高齢者にとっては、住み慣れたところで生活を継続させることが一番安心で楽なことです。住まいに住み続けるための安心を買う多少の投資は高齢社会にとって必要なことではないでしょうか。
 従って、今後、日本においては民間の住宅とともに公的な住宅なども基本的生活空間部分を「バリアフリー住宅」にして良質の住宅ストックとしてもっと増やしていくことが重要だろうと考えます。
4.バリアフリー環境の整備
1.バリアフリーの考え方
5.バリアフリー化
2.心のバリアフリー