日々の器
 私たちは一日三度の食事をします。その時使っている食器や湯飲みは、ほとんどの人がいつも決まったものを使っていると思います。それは、必ずしも本人が買っているとは限りませんが、その場合でも家族の誰かが好みのものを選んであげて使っているはずです。食器とはいえ、日々使っているうちに愛着も湧いてきます。気に入っているものをうっかり落として割ったりすれば何か悲しいような気持ちになることもあります。家に居る時なら、そのような場合、自分で買いに行ったり、誰かに買ってきてもらうことも簡単ですが、施設など入るとそのような簡単に見えることも結構難しいことになります。

 もし、私が将来特別養護老人ホーム(特養)に入るとしたら、食事の時には自分専用のものとまでは言いませんが、少なくとも気に入った持った手にも重みを感じることのできる器を使いたいなと思います。集団生活は、ややもするとものへの想いやこだわりを切り捨てがちになります。しかし、私はそのようなものなどへの想いやこだわる気持ちこそが日々の生活の張りに繋がるような気がしています。そうなると、その食器は勿論プラスチックではなく、陶器や磁器製の器です。当然、そのような食器は床などに落とせば割れます。それでも、そのような器で食事する方が同じものを食べても美味しく感じるだろうと思いますし、生活の質も高く感じられるのだろうと思います。そのような想いを誰にでも押しつけているわけではありませんが、私の計画する特養などでは食器はできるだけ陶器や磁器製のものをとお勧めしています。最近、少し値段は張りますが、落としても割れにくい強化加工した見た目もきれいな磁器食器の制作も全国各地で取り組まれ有田や久谷などの産地でも造られるようになってきました。床材がコルクタイルなどであれば、多少のクッション性がありますから、もしテーブルから誤って落としてもかなり割れることを防ぐことも出来ます。それに、食器は落として割れるよりは洗うときに割れる方が多いとも聞きました。大事に使う気持ちを大切にして注意深く使うのがよいのではないでしょうか。

  4.施設の住宅化

 高齢者施設へ入居する人達はここでの生活が、その暮らしの全てになります。それまで自分達が普通に行なってきた生活と全く違うものになるより、できれば今までの生活の延長線上で暮らしたいものです。施設として今までと同じような用意は出来ないとしても、心理的な面でも何らかの工夫でアメニティ空間を創り出し生活の臭いをあちこちに残したいものです。そこに演出される色々な仕掛けが入居者の施設での生活に彩りを与えることになれば日々が少しでも楽しくなるはずです。

5.地域との係わり
4.施設の住宅化
■ユニットケアとする

■個室化原則
■多様な生活空間
■利用者負担等
■施設整備費助成
3.費用負担の考え方
1.ユニットケア
2.新型特養の概要
1.福祉施設の考え方
2.ディティール内部