(1)多様な生活空間の確保など虚字夕刊橋を重視した構造とする
 「多様な生活空間の確保の手段として個室の近くに共用スペースを重層的に設け、ユニットケアを実現する。」としています。共用スペースとは、いわゆるデイルームを設け、人との交流を含めた生活の場とする考え方です。この空間も、プライバシーを確保できる個室があって初めてどちらの場にするかという選択の自由が働き、自分の意志が選択に関わって交流の場として機能するのだと考えられます。一部の意見にあるような、従来の4人部屋でいつも顔を合わせ交流ができるから多人数部屋の方が良いという性質のものではありません。人は一人になりたいときに一人になれる権利が必要です。その意味で、個人スペース公共スペースといった多様な選択可能な生活空間を確保していく必要があります。

(2)全個室を原則とする
 個室の広さは8畳(約13u)とし、収納スペース、洗面設備スペースを含み、トイレ面積は除いています。個室内への家具持ち込みを想定し、夫婦部屋についても言及しています。夫婦部屋については夫婦の介護度の違いで同じ施設に入れるか不明確な部分があるため、設置するためにはまずこの点の改善が必要です。
 しかし、全個室にするために個別に考えたとき問題点をあげるケアスタッフ(ケア経験者に多い傾向にある)がいるのも事実です。例えば、居室内トイレの問題があります。居室内にトイレを設置すると、痴呆症の人などの場合、便で壁を汚したりするし、見守りがしにくいので危険であるなどの意見があります。似た例としてあげれば、入口扉を鍵付きとし、開け閉めの管理を本人に任せようと計画しても、殆どがスタッフ側から危険性についてクレームが付き扉を開放したままになったりして実現することがままならない場合が多いのだろうと考えます。従って、個室化の本来の目的を達成し、これらの計画内容を実現するためには、施設側とケアスタッフを含めたトータルな検討・対応が欠かせません。

(3)ユニットケアとする
 10人を生活単位の原則としているが、私見としては10人は少し多く、8人が入居者としても生活の仲間としては適当ではないか、また、居室と共用スペースの配分などのバランスからもユニットとしてまとめやすいと考えています。簡単な調理、食事、談話などを通じて交流が図られるようユニット毎の共用スペースを設けることを要求していますが、ユニット内で無理に交流を要求する必要もなく、本人の生活の選択の自由性が増すことによるストレス減少が、入居者に対する最大の効果ではないかと考えられます。
 また、静養室や面会室が不要なのは当然としても、一定の要件の下で廊下幅の見直しをするとしていますが、一定の条件が現時点ではまだはっきりしていません。
 参考例によれば、昨年まで禁止されていたユニット内の通路通過が180度逆転し認められ、分断されたデイルームも良しとしています。この点は厳しい指導があっただけに行政指導としていかがなものでしょうか。聞くところによれば、参考事例施設のデイルームは十分には活用されていないとも聞きます。どのような条件の下での廊下幅を指導するか待たれます。無論、多様な使い方のできる廊下はある意味で必要なことです。また、ケアステーションからの入居者への看守りについても特に指導はありません。しかし、入居者の身体状況を考慮すれば少なくともデイルームへの見通しは配慮されるべきでしょう。そして、最後に浴室の扱いですが、通常の家庭生活を基本として配慮すれば、ユニット内に浴室を組み込むかどうかの判断が分かれるところだろうと思います。しかし、現時点では特養の浴室、浴槽は補助金対象ではなく、これらの費用がホテルコストに反映できるかが、どのように配置可能かの重要な判断基準となってきます。勿論、もし反映できてもホテルコストの総額が入居者の負担可能な限度を超えれば不可能であり、限度以内に納まることが前提となります。

  2.新型特養の概要


5.地域との係わり
4.施設の住宅化
■ユニットケアとする

■個室化原則
■多様な生活空間
■利用者負担等
■施設整備費助成
3.費用負担の考え方
1.ユニットケア
2.新型特養の概要
■多様な生活空間
■個室化原則
■ユニットケアとする