1.共通部分と個別対応

3.双方からのアプローチ
1.共通部分と個別対応
 「バリアフリーデザイン」と「ユニバーサルデザイン」について別の角度から考えてみます。

 「バリアフリーデザイン」は、「自立生活や社会参加などを阻害するさまざまの障害を取り除く」という意味では、本当は「心のバリアフリー」まで入れなくてはいけないのでしょうが、一般的には狭い意味で、「物理的なバリア」を解消するために「利用対象者を特定化したり、その対応を特別化する」事を「バリアフリーデザイン」という言い方がされています。

 しかし、私は「バリアフリーデザイン」のカバーする範囲の定義をもう少し広くしても良いのではないかと考えています。個別の障害への対応をした場合にも結果としては、ある部分は誰にでも便利だという「ユニバーサルデザイン」と共通する領域があり、その他の部分は個別の障害への対応ということになります。

 つまり、全ての対象を共通のコンセプトに従ってデザインすれば、必ず一部の障害には支障のでてくる人もいますから、共通のデザインをして全ての人が使えるようにすることは大変難しい事です。つまり、さまざまの障害に対して、それを解消するためにハード的対応を考える場合に、結果として、多くの人達に共通に対応できる部分と、それぞれの障害に対してどうしても個別に対応せざるを得ない部分が生じてきます。

 例えば、車いすの人と杖歩行の人を考えてみますと、移動する場合、床が平らであれば双方に共通で便利なものですが、廊下や通路の手すりや階段などは車いすの人にはあまり使えない不要なものになったり、時には障害になる場合さえあります。また、車いすの人のために、段差をスロープなどで段差解消する場合を考えますと、パーキンソン氏病などの障害の場合には、行動制御がままならないため下り坂で歩き始めると止まることがなかなか出来ずに、スロープでは追突を起こしたりしてしまうため事故を起こしかねず、逆に緩い階段のほうがよい場合があります。しかし、スロープはそれらの一部の人を除けば、その対応は足腰の弱った人、子供、妊婦など誰にも便利なものであり、「ユニバーサルデザイン」の考え方として提示されている部分と殆どラップしているということができます。このように、共通に対応できるものと個別に対応しないと駄目な部分があります。
2.全く逆の対応