誘導ブロック
直線上に配置

街づくり連続性について10.03.11

2006(平成18)年にバリアフリー新法が施行され、国は今後建物や街づくりを行う際にはバリアフリーを基本とする方針を示した。いよいよ日本も高齢者や障害者、そして子供、乳母車なども買い物や公園への散歩など街に出かける時にも便利になり皆が暮らしやすくなることが期待されている。既に4年が経過したが本当に世の中バリアフリー化が推進され実現さているか改めて考えてみたい。
私は現在、福祉のまちづくり学会の中国・四国支部の委員の一人として活動している。昨年は支部会総会で講演もした。それらの活動の中で感じるのは、まだまだ日本の本格的なバリアフリー化はこれからだなという重い想いである。また、9年前に書いた記述を読むと今も議論されていることが多く尚更に進展が遅いことを実感する。
バリアフリー化するときに大切なことは、点(部分)だけの対応ではその対応により助かる場所が限定され移動などには対応できない。従って、点の連続すなわち線的な対応が必要であることが分かる。さらに、その線は限定された場所を結ぶだけでは済まない。人の行動は多面的にわたるのでその連続する線が本人の行きたいところに出来れば幾つかの選択できるルートとして可能な限りつながっていなくてはならない。つまり、面的な対応が必要となってくる。勿論、移動するときには限られた場所(道路・線路など)を使うことになるので網の目の様な面的対応である。しかし、これが出来ているところは少ない。
先ず身の回りの環境を眺めてみると、熱心な自治体などで頑張っているところがあるのは間違いないが、それでも部分的にフォーカスを当てて眺めれば、連続性が欠けていたり、特定の障害の対応に偏っていたり、と問題のある部分も発見できる。勿論、全ての人が満足する対応は出来ないとは思うが、殆どの人達には少なくとも対応している状態としたい。薄い(基本的部分)対応でも良いから全国的に広く対応されていることが連続性の確保の点からは一番大切なことである。
バリアフリー化が遅々として進まないことの背景にあるものは、バリアフリー化が世の中にどうしても必要であるという共通理念が醸成出来ていないのかもしれない。大きな危険と小さな危険を比べれば、政策判断として大きな危険の方に優先順位を持っていかれてしまう。しかし、全てのものではないとしてもバリアフリー化はある意味で小さな危険解消の集合体ともいえ、中々世の中に認識され定着するにはかなりの時間が掛かるのだと再認識しなくてはいけないのかもしれない。

街づくり
障害への配慮
(2001.12.10)

国のハートビル法や交通バリアフリー法などの法制化や自治体の施策などのお陰もあり、近頃はかなり障害者やその人たちの障害について理解している人も増えてきていますし、少なくとも理解しようという機運になってきています。しかし、実際に配慮が施行されているという現場を見てみると、それぞれの会社の方針なのでしょうか未だに建前の施行になっていることも多いようです。エレベーターなどが改札口から遠く離れていたり扉に鍵が掛かったりしているのを見かけると残念な思いがします。つまり、障害者に対する配慮の多くがどちらかといえば当たり前の権利への配慮ではなく、健常者に対するオプションとしての位置付けになっているのです。ユニバーサルデザインが世の中で言われるようになってからも随分時間が経っています。これは誰にでも便利だとか特別ではないデザインのことを指していますが、多くの人に共通に便利なものとして街づくりには欠かせない思想というか考え方です。
 良く引き合いに出されることの多い視覚障害者のための誘導歩道ブロックですが、少し気になっていることがあります。もっとも、街中では点字ブロックの上に自転車や看板が置かれて占拠されたりしているので、今後、更にみんなの理解を求めていく必要があるのですが、ハートビル法や福祉の街づくり指針では道路から公的な施設の玄関までは連続した設置が指導されています。しかし、新しく作られた建物でも正面玄関などの一番端っこにひっそりとスロープを設けることが多いような気がします。門から真っ直ぐ敷設されているプロックが玄関前の階段の手前の処で突然角度がついてぐるりと遠回りになり脇のほうへ迂回してしまうのです。その誘導ブロックは目の不自由な人たちのために敷設されているものです。多分、誘導ブロック沿いに歩いてきた人は突然向きが変わり戸惑うのではないでしょうか。それとも、またかと思うのでしょうか。多くの場合、真っ直ぐに敷設してその延長上にスロープを設けることは難しくないし、可能なのに余りそうしようとは考えられないようです。何故、不自由な人をわざわざ遠回りをさせるのでしょうか?設計者のデザインへのこだわりの問題でしょうか。しかし、できることをほって置いては本当の良いデザインとはいえないでしょう。正面にスロープを設置すると使い勝手が全く悪くなって全体を壊してしまう場合は別として、殆どの場合は双方を満足させるデザインができるだろうと思います。つまり、そのような結果は技術的な問題ではなく、建物の計画に関わる設計者などの思想あるいは心の問題ということが出来ます。この心の部分が変わらない限り、いつまでも見せ掛けの障害者や障害への配慮は誤って造り続けられていくことになりかねません。







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